こんにちは! 爽香(ソウカ)(@souka141064)です。
皆さん、「皮革製品」が草加市の名産品だということをご存知ですか?
実は私は全く知らず、「何故草加で?」「昔は動物がたくさんいたのだろうか?」と疑問に思っていました。
そんな時に目にしたのが、そうか市民大学の「まちの匠 〜作る・皮革講座〜」でした。この講座は全3回で、皮革について学べるだけでなく、なんと実際に皮革を使って手提げバッグを作ることができるというもの。直ぐに申し込みました。
1回目の講座は、実際に皮革を製造されているタンナーの伊藤産業さんを訪れ、皮革の歴史や製造について説明を受け、工場見学をしました。この記事では、1回目の講義で学んだ内容についてお伝えします。

まちの巧・皮革講座の資料
目次
皮革について
皮革(ひかく)って何?
皮革(ひかく)とはその字の通り、「かわ」を示します。「皮」は動物の身体から取ってなめし加工が入る前、そのまま置いておくと腐ってしまう状態で、「革」はなめし加工を行った後の状態を示します。
私達が普段目にする、本革製品(鞄、靴、ベルト等)は、この「皮革」を用いて造られたものです。
なぜ草加市に皮革産業が?
革の4大産地は、姫路、和歌山、東京、そして草加市。「何故草加で?」という私の疑問に、伊藤産業の伊藤社長が講座で丁寧に説明して下さりました。
良質な革の生産に必要なのは、豊かな水源。製造工程全てに水が必要となります。そして、製造した製品をスムーズに出荷できる、流通の便の良さも重要です。
昭和の初め、東京の三河島(墨田区)ではすでに皮革産業が盛んになっていましたが、次第に場所が手狭となりました。近隣の地を探していたところ、湿地帯で浅草にも近く、土地代も手頃であった草加市に白羽の矢が立ちました。周辺の市も同時に検討されましたが、草加市は他よりも早く国の認可が下りたのです。
昭和10年頃、多くの職人さんが東京から草加に移転し、主に軍需向けの皮革を製造していました。そして終戦後は自由に製品を製造できるようになり、皮革の製造は昭和45〜46年頃にピークを迎えました。

そうか皮職人会の看板
皮革を加工する職人の街に
その後時代の流れもあり、皮革を製造する会社(タンナー)は減ってしまいましたが、昭和50年頃からはその皮革を使って製品を作る、縫製職人が草加市に集まるようになりました。理由は、「草加市に来ればどんな種類の皮革でも手に入るから」。
姫路は牛、和歌山は鹿、と主流が決まっている中で、草加市は牛や鹿の他、豚や羊、カンガルー、爬虫類など様々な皮革の取り扱いがあるのが特徴なのです。

草加市の皮革が紹介されている小冊子
伊藤産業さんの皮革工場の見学
革なのに、薄くて軽くて柔らかい!
皮革についての講義が終わった後、大小様々、色とりどりの皮革が広げられた乾燥室に移動しました。本革製品といえば「しっかりしている」「硬い」「厚みがある」といったイメージがあり、少し近寄りがたい雰囲気がしていたんです。
しかしながら、そこに置かれていた動物の皮革のサンプルを実際に手にしたところ、動物によって触り心地が全く違うのに驚きました。「硬い」イメージがあった、ヘビやトカゲ、ワニは意外と柔らかく、「柔らかい」イメージのあった仔牛はしっかりしていて、少し硬めでした。
そして、伊藤産業が製造している薄手の皮革生地(ソフトレザー)にはもっとびっくりしました。
薄くて軽くて、ふわふわ。私が思っていた革の感触とは全く異なりました。実際に商品になった後の手袋、鞄、そして扇子を手にしましたが、どれもスムーズで触り心地もよく、肌にすっと馴染んで気持ちが良かったです。
- 鹿の皮でできた眼鏡拭き
- 革とは思えない、とっても滑らかで柔らかな手触り!
皮は1枚1枚、生きている
サンプルの見学後、実際の製造工程を見せていただきましたが、まずその工程数の多さに驚きました。伊藤産業で対応しているものを含め全24工程あり、動物が死んでから皮革になるまで約2ヶ月ほどかかるとのことでした。
そして、工場見学で強く感じたのは「皮は1枚1枚生きている」ということ。私たち人間が1人1人別々の容姿や個性を持っているように、同じ種類の動物でも1匹1匹、体の大きさも皮の厚みも、質感も異なります。それを工程によっては職人さんが、1枚1枚丁寧に手で作業をしていました。
様々な製造業が製造工程をどんどん自動化し、これからもその流れが進んでいくのでしょうが、皮革産業は完全自動化にはできない産業で、人間が本来持っている感覚を使う「作品」なのだと感じました。
見学終了後に伊藤社長が仰っていた、「一度命を失った動物だけれど、その皮で製品を造り使うことで、再び生き返らせることができる」との言葉がとても印象的でした。
- 皮革のコインケース
- 折りたたむだけで完成!
まとめ|講座1回目の感想
小さな端材まで使えたらいいな
1枚1枚皮の大きさが異なるので、トリミングの際は当然端切れも出てきます。
皮革もこんなにしなやかで柔らかい製品があるのなら、多少形が変わっていたり、小さめの端材でも、布の代わりにパッチワークやちょっとした作品作りに使えたらいいな、と思いました。
*少し大きめの端切れは、草加駅西口「草加市物産・観光情報センター」で、数百円から販売されています。

草加市物産・観光情報センター
皮革をもっと知りたい
今回の講座で改めて、草加市民なのに皮革産業を知らずにいたことを恥ずかしく思いました。そして、もっと皮革について学びたい気持ちになりました。
2回目の講座からは、いよいよ手提げバッグ作りです。
皮革を使い実際に製品を作っていらっしゃる講師(職人さん)のお話が伺えるのがとても楽しみです。皮革の魅力や特長を最大限に生かせる使い方や加工の仕方、どんな製品や作品に使われているのかを是非伺いたいです。
不器用なので上手にできるか自信がありませんが、大切な命を使わせていただくのですから、丁寧に取り組みたいと思います。